南美穂子の拘置所生活 (その2)

「働き人のいいぶん。」より。
http://hatarakibito.at.webry.info/201106/article_3.html

南美穂子の拘置所生活 (その2)


 房の中では監視されながらも楽しみを見つけて笑いあったり、家族の話になってしんみりしたり、励ましあったりしています。一番かわいそうだったのは、執行猶予が切れかけている時にパクられた人で、なんとか弁当(執行猶予)を食いきっていこうと、控訴や上告をしていますが、弁護士の動き方でそれも決まってくるようです。

 何回もパクられている人が、これから刑務所へ行く人に指導したり、拘置所ならではのオバケ話など色々な話がでます。話が盛り上がると刑務官から「うるさい!!」と注意されます。特に刑務官は、笑い声に厳しく注意してきます。

 私の房は、刑務官の作業台の前なので一番注意されやすいのです。

 日に何度か、捜検という名の持ち物検査があり、ロッカーがわりのキャリーバッグや棚、ノートの中まで検査されます。

 人から物をもらったり、シャバの時の連絡先を知らせあったりなどの違反が見つかると、懲罰されたり、房のメンバーをバラバラにして房を変わらせられます(転房)。仲良し転房というのもあり、仲良くなると、部屋のメンバーがバラバラにされることもあります。

 女区には色々な人がいて、「あの人絶対、えん罪やで」と言われている人もいます。その人は皆がえん罪(放火)と思うようなお嬢さんですが、その人の父親が怒って検事を刺したそうです。長く拘置所にいる人は皆無罪を主張している人です。なにかおかしい気がします。

 部屋は覚せい剤で捕まった人が多く、その人達には、ちがった意味で釜ヶ崎は有名です。○○の横のビルや○○さんが住んでいたビルはよく知られています。この間は○○組の先代の組長(ひどい覚せい剤中毒)とバクチをしたという猛者も私達の房にいました。(刑が確定して上に上がられました)

 その人は三角公園の炊き出しのこともよく知っていて釜話で盛り上がりました。

 皆、私の事件には「なんでそんな事でパクられるの?」と不思議がっています。

 拘置所ライフは私にはめずらしいことばかりなので、おもしろいかなと思って書きましたが、皆にはどうかわかりません。○○さんから手紙と写真受けとりました。ありがとう!救援のこと走りまわってもらって、署名もありがとう! 仕事がんばってね! 田植えの写真は元気をもらいました。盛会でよかったですね! なにげない手紙うれしいです。○○さんには礼状書きました。彼も大変ですね。それではまた! 今日はここまで。

(2011年5月25日 南)

拘留されている仲間の即時釈放を求める署名のお願い

拘留されている仲間の即時釈放を求める署名のお願い

 救対本部では、今回の弾圧で拘留されている仲間の早期釈放を求める署名活動を行います。

 今回の弾圧は、釜ヶ崎労働者や派遣労働者、震災被災者のように、貧困や災害によって住所が安定しない者には、選挙権も保障されないという日本の選挙制度、そしてこの選挙制度をかたくなに守ろうとする者達が引き起こしました。

 この選挙制度日本国憲法に違反していることはもちろん、国連人権規約にも明確に違反しており、日本の民主主義を根底から問うものです。

 原発や被災地の復興の仕事に行くであろう釜ヶ崎の人間を選挙から排除しておいて、どうして新しい日本など展望できるのでしょう。

 この署名運動は、釈放要求運動であるとともに、日本の本当の民主主義を求める声を結集するものです。

 今色々なところで権力による弾圧事件が頻発しています。権力にとって都合の悪い芽は全部つみ取ろうとしています。しかし日本をここまで凋落させた彼らに、もはやこの国を任すことはできません。この弾圧を跳ね返す強力な陣形を整えましょう。署名運動へのご協力をお願いします。

※締切りは6月15日までとなります。
署名用紙は以下になります。コピーしてFAXあるいは郵送お願いします!!

南美穂子の拘置所生活 (その1)


 今回は私の拘置所生活について書きます。被疑者から被告になって拘置所に来た時から私達は刑務官の監視下に入り、権利を制限され(薬のことなど)拘置所独特の規則に従わせられます。刑務官は先生と呼ばれ、私達の世話をする以上に監視が仕事です。房内で話しはできますが、大きい声で話すと注意、廊下を歩く時も他の房にちょっと向いても注意、スリッパをすって歩いても「引きずるな」と細かいところまで注意を受けます。

 女区(拘置所内の女の人の居るところ)は1階と2階があり、私は、1階の雑居房にいます。2階は判決が確定して、刑務所へ行く前に準備する人、すでに拘置所内で労役をしている人、懲罰房、独居房があります。独居房には、あの林マスミさんもいて、皆の噂の的になっています。

 私は1階の雑居房にいます。雑居房には8畳に洗面所、トイレがついていて、8人部屋になっていますが、私の房は今のところ5人です。

 拘置所に来て1ヶ月ですが、刑が確定して2階へ行く人、執行猶予で帰る人、保釈で帰る人が出てきて、新しく入って来た人や、転房して来た人等、4,5名メンバーが入れかわりました。

 今は香港の人や、フイリピーナもいて、なかなか国際的です。香港の人は日本語がダメですが、皆英語と大阪弁で結構深い話もしています。

 皆、30代、20代で若いです。朝は、7時30分に起床、10分で布団のかたづけ(このかたづけ方も決まっている)窓や床のふきそうじなどをバタバタとやり、10分で入り口に向かって正座、点検があります。

 点検が終わると朝食、窓からごはんとおつゆは1人ずつ、おかずはみなの分が入れられ、手分けして配食して配膳します。それをかきこんで、片づけを手分けしてやります。

 午前中は皆、手紙を書いたりして過ごしています。家族や友人に対してもありますが、男区(拘置所内)にペンフレンドを探して文通している人も多いです。会ったこともない相手でも、互いに拘禁のつらさをはらすために手紙をやりとりしているのです。便せん7枚までいけるので、色鉛筆を使ってかわいい絵を入れて、7枚ビッシリ書いて送っています。中には、相手が刑務所に入るので、文通が続けられるよう入籍する人もいます。拘置所に入って知った初めての世界です。レオ君からハガキが来た時、皆が「紹介して」と言いましたが、「ダメ」と言うと、「こんなポン中には紹介でけへんな」と笑ってました。

 フロは今は火曜と金曜、15分でせまいフロに5,6人がひしめいて、先生監視の下、使用する湯も制限されて入ります。私はボウズなので頭を洗うのが早くていいですが、皆毛が長いのでたいへんです。

 運動の時間は30分、房単位でとりかごのような所にわなげの台や、フラフープがおいてあり、爪を切ったり歩いたりして過ごします。

 昼から2時まで午睡時間、寝転ぶことができます。

 3時、昼からの体操の時間が終わると、手紙を受けとる時間です。皆の一番楽しみにしている時間で、文通相手や家族からの手紙を熱心に読んでいます。私に送ってくれているビラやパンフは午前中に届きますので、それにそえられている手紙はこの時に読みます。

 4時30分ごろになると夕食(超早い!)5時前にそうじして点検。5時30分にはそれぞれの布団をそれぞれに配り、夜の時間となり、ラジオ放送が流れます。

 夜の時間も読書や手紙かきでそれぞれ過ごします。9時には就寝で布団に入って寝なければなりません。

 部屋には1審から今最高裁へ上告中の人や、2度目、3度目の人がいて、わたしみたいに何もわからない者に、色々教えてくれます。物品の購入や宅下げの仕方を教えてくれたり、当番を決めて部屋をしきってくれています。

 私はしんどかったり、外でもいいかげんだったりで、慣れないならわしにとまどいながらも若い人達に注意されたり、かばわれたりしながらなんとか過ごしています。

(次回に続く)

                                   2011年5月25日

                                              南

反撃集会、無事終わりました。来てくださったみなさま、ありがとうございます!!

「働き人のいいぶん」より。
http://hatarakibito.at.webry.info/201105/article_4.html

4人の仲間を返せ!釜の住民票、選挙権を返せ!
釜ヶ崎大弾圧反撃集会大成功


 5月20日、「4・5釜ヶ崎大弾圧反撃集会」が開催された。司会の大任に緊張し舞台に上がると、300席の会場をほぼ埋める参加者から熱い視線が集まった。伝わる熱気に集会勝利を確信した。「ただいまより、釜ヶ崎大弾圧反撃集会を開催します」。沸き起こる大拍手で集会は始まった。

 冒頭、関生労組の西山さんから、つい先日5/11の13名不当逮捕という関生労組に対する弾圧の緊急アピールをいただいた。関生労組といえば今回釜ヶ崎大弾圧が起こるや否や、府警本部に街宣車を繰り出し抗議行動をおこなってくれた。われわれも街宣車(なめ憲リヤカー)で西成署への抗議行動はおこなったが府警本部までは行けなかった。熱い連帯の行動に感動と感謝の気持ちでいっぱいだ。釜に対する弾圧も関生に対する弾圧も一連の大弾圧の一環であり、暴力以外に打つ手を失った権力のあがきでありあせりだ。関生の13名の拘留理由開示公判に4・5釜ヶ崎大弾圧救援会から多くの仲間が駆けつけてくれたことに謝意が述べられ、「今後とも共に闘おう!」のアピールを拍手をもって確認した。

 次に、NDSにより「釜の住民票を返せ!・釜ヶ崎大弾圧反撃バージョン」が上映された。釜のおっちゃんらの「住民票を返せ!選挙権を返せ!」のド迫力映像に圧倒されながらも「住民票闘争がよくわかった。」「選挙権を奪うとは言語道断!」の声が聞かれた。

この後、野村さんの解放アピールでは、看守からの<嫌がらせ>の実態報告に怒りのため息がもれ、「みなさんのおかげで釈放されました。ありがとうございます。」の言葉に温かい拍手がおこった。

 続いて、不当拘留・起訴をされた4人の獄中アピールがあった。まず、南(南美穂子)さんから、「投票管理者が公務員に選挙人の選別を代行させたことは違法。公務員の方こそ選挙妨害。」「釜ヶ崎労働者に対する棄民政策を暴露し、釜の労働者の基本的人権を守る闘いを潰すことはできない。」「釜をなめるな!住民票闘争は続く!」とのアピールを行動する会働き人の田島さんが朗読した。

 大谷牧師(大谷隆夫さん)からは、「4・16集会の盛会は、弾圧の不当性に多くの人が気付いていることの証であり、選挙権を取り戻し、人としての尊厳と誇りをもって生きていける世の中をつくりましょう。」「戦中の治安維持法を彷彿させる弾圧ですが、未来は闘う私たちのもの。おおらかに闘い抜きましょう。」のアピールを日本キリスト教団大阪教区の岡山さんが朗読した。

 また、エキン(阪口浩一)さんからは独創的な5つの闘争方針が具体的に示され、「今回の原発事故を契機に、本当の“反撃”を開始しましょう。」のアピールを人民新聞の一之瀬さんが朗読した。

 最後に、レオ君(佐藤零郎さん)から長居公園強制排除の原体験から住民票闘争を俯瞰するドキュメンタリー映画監督らしい視点のアピールがあった。西成署の取調室の暴行の痕跡描写はリアルだ。「反撃集会に参加された皆さん応援いただいてありがとうございます。」とNDS中村さんが朗読した。

 ここで、会場カンパの呼びかけがあり、\119,947−の支援が寄せられた。

 この後、遠藤弁護士から「住民票闘争は日本の公民権運動です」「キング牧師はデモで逮捕されながら黒人の選挙権を勝ち取った」「釜ヶ崎労働者は当時の米国の黒人同様に差別的境遇におかれています」といった講演があった。遠藤先生が南さんの弁護に情熱を傾けられる真意に根差す講演だと感じられた。

 続いて統一弁護団の弘川弁護士から「ミャンマーの難民救済の活動をしているが、今回の弾圧は軍事政権を彷彿とさせ、あり得ない暴挙だ。」のアピールがあった。鈴木弁護士からエキンさんの拘留理由開示公判が<5/24・10:30・604号法廷>で行われる旨連絡があり、「裁判所に期待はできないが裁判官の心証に訴える道はあり得る」のアピールがあった。

 ここで、急きょ駆けつけてくださった戸田ひさよし門真市議から力強い連帯アピールをいただいた。

 そして、各団体アピールの先頭をきって日本キリスト教団大阪教区横山先生よりアピールにかえ歌「ともだち」の参加者全員の合唱が行われた。釜ヶ崎地域合同労組の稲垣さんは25回もパクられた経験を披露され共に闘おうのアピールがあった。先日の釜ヶ崎メーデーでは4・5大弾圧糾弾を全面アピールさせていただいた全港湾西成分会の泊委員長の連帯のあいさつと続いた。釜ヶ崎キリスト教協友会で大谷牧師とともに共同代表を務める吉岡基さんから「4人は共謀したということですが、4人とも個性が強く共謀なんかできるはずがないですよ」の発言に会場は爆笑の渦に。「弾圧は立場のちがいを超え団結してはね返しましょう!」に大きな拍手が起こった。パナソニックの不当解雇と闘う吉岡さんからは、南さんらがパナデモ応援に来てくれたエピソードを披露しながらの連帯アピールをいただいた。仲間ユニオン学校教職員組合の松田先生、いこいの家の米加田さんの涙のアピール、野宿者ネットワークの生田さん、自由労働者連合の松原さん、釜ヶ崎トロールの会の金羽木さん、NDSの金さんからアピールがあった。

 最後に、日本人民委員会の印旛さんより「4名の釈放を求める署名」運動の提起が行われた。6/15の締め切りに向け署名運動に注力することとなった。

 「4人の仲間を返せ!釜の住民票、選挙権を返せ!」「団結がんばろう!」を参加者全員で三唱。高揚感と達成感溢れる中、勝利の閉会となった。

(報告 日本人民委員会 伊関 要)

<<反撃集会開催します>>

釜ヶ崎大弾圧反撃集会」のお知らせ

内容 :住民票運動の映画上映、拘留中の4人からの獄中アピール、裁判経過と今後の公判に向けての闘いかたについて報告等。

日時 : 5月20日(金)午後6時開場 6時半開始
場所 : 阿倍野区民センター小ホール
(地下鉄谷町線阿倍野駅スグ)
      大阪市阿倍野区阿倍野筋4−19−118
主催 : 4・5釜ヶ崎大弾圧救援会
連絡先  NPO法人釜ヶ崎医療連絡会議
(06−6647−8278)

 現在も4人の仲間たちが保釈却下され大阪拘置所に勾留され続けています。
やっと統一弁護団も結成され、救援会とともに私たちも公判に向けてやるぞ!
と体勢を再度立て直して挑んでいます。
面会に行くたびに(週三回のペース)勾留されているレオの頭の髪の毛がぼうぼうになってきて、わずか10分間という短すぎる面会時間でどれだけ本人への励ましになっているのか不安でもあります。とにかく、外のことは任してとつたえてきました。本人は「元気だ!」といってはくれますが、絶対にしんどいし、勾留が長い、長すぎます!弁護士に話を聞くと公判まで最低2−3ヶ月は待たないといけない。そうなるともう夏に突入してしまう。いつまでこんな不当な勾留を続けるんだ!西成署・検察・裁判所(警察の言いなり、公平な判断はどこぞに忘れてきたか)がやりたい放題に権力をあからさまに行使してくる。

このブログを見ていただいている皆さんには、一日も早く私たちの仲間が帰ってこれるために、この釜ヶ崎のことを他の仲間に知らせてください。そして、不当勾留と、レオが押収された250本のテープを一日も早く取り戻せるよう、こうした警察の暴挙を許さないぞとともに声を挙げていただきたく思います。どんな形でも構いません、賛同のメッセージいただければすぐレオに伝えます。集会にも来てください、みんなで顔つき合わせてそれぞれの思いを話しましょう。面会には平日であればいつでもいけます(午前8:30〜12:00、午後13:00〜16:00)。ただ、面会は一日一回だけで、誰かが先に面会に来るとその後に来た人は追い返されます。事前に救援会(06−6647−8278)にこの日行きたいと連絡をください。

今後も継続して面会に行きつつ「一人じゃないよ」とエールを送っていきたいと思います。

どんな形でも構いません、これからも皆さんからの心強い支えとご協力のほどよろしくお願いします。

レオは獄中で、これまでの住民票運動・裁判の資料を読み返しながら公判が始まる前にこちらからどのように反撃していけるか作戦も練ってくれています。また釜ヶ崎を舞台にした映画のシナリオも書き綴っています。

働き人のいいぶん 5月3日号

釜ヶ崎大弾圧糾弾!
釜ヶ崎労働者、野宿者、震災被災者から、選挙権を奪うな!

 4月5日、大阪府警釜ヶ崎の仲間7人を逮捕し、14ヶ所を家宅捜査した。

逮捕の理由は、昨年7月の参議院選挙の際、釜ヶ崎の中にある萩之茶屋投票所前で投票所を警備していたガードマンの公務を妨害したというものである。

 4月28日には、3名釈放、4名を「威力業務妨害」で起訴した。拘留されているのは日本人民委員会 行動する会働き人の南美穂子さん、NPO法人釜ヶ崎医療連絡会議の大谷隆夫牧師、ドキュメンタリー映画作家の佐藤零郎さん、フリージャーナリストの阪口浩一さんである。皆、釜ヶ崎に生活基盤をもちながら、釜ヶ崎の人権問題に精力的に取り組んできた仲間である。

(事件の背景)

 2006年、福岡県警の警察官が浮気をし、人生をやり直すために釜ヶ崎の住民票を買った。その住民票は釜ヶ崎解放会館に置かれていたものだった。この事件を契機に、釜ヶ崎解放会館には居住実態のない住民票が大量に置かれていることをマスコミがとりあげた。大阪市は2007年3月29日に2088名の住民票を職権で削除した。

 しかし、この解放会館への住民票の設定は、大阪市西成区役所が30年間にわたってすすめてきたものである。労働者が区役所へ行って、「飯場とドヤの往復の生活で、住民票を置く場所がない。住民票がないと健康保険にも入れないし、免許証も持てない、携帯電話も持てない、就職もでけへん、なんとかならんやろか」と相談すると「解放会館へ行って、そこに住民票を置かしてもらいなさい」と指導し、解放会館には多い時には1万人以上の住民票が置かれていたという。

 大阪市による住民票の強制削除によって、同年4月の統一地方選挙で、2000名以上もの選挙権が奪われるのではないかというおそれがでてきた。

 支援者との交渉で大阪市選管は、「投票所で簡易宿泊所の領収書などを見せて、地域に4ヶ月以上居住していることが証明されれば、投票所で住民票を復活し、投票させる」と約束した。しかしこの事実を広く住民票を削除された人に周知させることはしなかった。しかたなく、支援者がこれをビラやマイクで選挙の数日前から広報し、「住民票を復活できるかもしれませんから、投票へ行きましょう」と呼びかけたのである。これで9名が住民票を復活できた。この投票呼びかけ行動はその後の選挙でもつづいた。選挙当日、釜ヶ崎三角公園に集合し、住民票を削除された人と支援者が一緒に投票所へ行って、居住実態などの確認作業をするという行動である。当初は支援者も投票所の中に入ることができたが、徐々に支援者を門扉で排除するようになった(選管のマニュアルには、選挙人の居住実態の確認方法として、「友人も可」、とあるにもかかわらずである)。

 今回大阪府警は、9カ月も前の参議院選挙の件で、今回の統一地方選挙の5日前に一斉逮捕するという挙にでた。予防拘禁という見方もできる。そして被疑事実を変更してまで起訴拘禁するというのは、明らかに捜査権の濫用である。

 今回検察側は、法律的に重大なミスを犯した。彼らは、逮捕容疑を「選挙管理委員会が委託した民間警備員に対する公務執行妨害」とした。しかし、公職選挙法によれば、公職の選挙を行なう投票所を管理するのは、地域の選挙人の中から選んだ「投票管理人」でなければならないのである。選挙管理委員会に委託された民間警備員が、誰が選挙人かも調査することなく排除していたという事実は、それ自体が公権力による選挙妨害である。

 このことを今回逮捕された南美穂子の「勾留理由開示公判」において、担当の弁護士が主張した。

 拘留期限がきれる4月26日ぎりぎりになって、3名を釈放し、4名については「投票管理者の指示をうけ、投票人等投票所に入ることのできる者以外の者の入場を制限していた選挙管理委員会関係者に対する威力業務妨害」に罪状を付け替えて起訴した。現在4名は大阪拘置所に収監されているが、接見は可能である。保釈は申請中であるが結論はまだ出ていない。

 この釜ヶ崎の住民票、そして選挙権の問題は、おりしも東日本大震災によって被災した何十万という方々の問題でもある。遠く離れた避難先で、故郷における住民票はどうなるのか、選挙権はどうなるのか、お金がなく家がなく住民票がない貧乏人や被災者には、選挙権はないのか?まさに日本の民主主義を根底から問い返す問題である。

(救援会 いんば)


メーデー 釜ヶ崎大弾圧糾弾!

不当逮捕起訴の4人の仲間の解放をうったえる

 2011年5月1日朝5時。あいにくの雨。なにくそ、4人の解放を勝ち取るぞ。「釜ヶ崎大弾圧糾弾!」センター情宣。今年のメーデーはこうして始まった。

 4・5釜ヶ崎大弾圧で7人の仲間が不当逮捕された。まきあがる抗議の声に検察は7人に対する公務執行妨害罪での起訴を断念、3人を釈放した。ところが、残る南さん、大谷牧師、エキン氏、レオ君を公務執行妨害罪では不起訴とした直後、訴因変更して、身柄を大阪拘置所に移す暴挙に出た。

 4・5釜ヶ崎大弾圧救援会はこれに対し、「釜ヶ崎大弾圧反撃集会」《5/20(金)18:30阿倍野区民センター》をもって対峙し、メーデーでの「釜ヶ崎大弾圧反撃集会」アピール行動となった。行動には、救援会より、日本人民委員会、行動する会働き人、医療連、自由労働者連合、カワンモラウ、釜ヶ崎よってけまつりやそのほか多くの仲間が駆けつけてくれた。

 早朝情宣の後、全港湾の釜ヶ崎メーデーに参加。デモ出発前のセンターと大林組前での抗議集会で、アピールの機会をいただき「釜ヶ崎大弾圧糾弾、4人の解放、釜ヶ崎大弾圧反撃集会への結集」をうったえた。

 釜ヶ崎を一巡し通天閣へ至るデモは、カワンモラウのアップテンポの太鼓にいやがおうにも高揚感がみなぎり、「4人を返せ!」「釜の住民票を返せ!」「釜ヶ崎大弾圧反撃集会に結集しよう!」のシュプレヒコールとあいまって、ポリ公もタジタジ、泊委員長もビックリ「ありがとう」と言って笑っておられた。

 この後、中之島メーデーに合流。ここで、ふるさとの家のマーコさんや本田先生、NDSの中村さんなどと出会い、2000人はいるかと思われる会場を手分けし「釜ヶ崎大弾圧反撃集会」呼び掛けビラを配った。この日準備した2種類2000枚のビラはまたたく間に売り切れとなった。

 続くデモは、関生労組の後につき、炊き出しで遅れて到着された釜合労のみなさんとも一緒に「釜ヶ崎大弾圧糾弾!」の声をあげた。デモは裁判所前を通過。南さんの拘留延長と起訴を許した畑山という裁判官は、南さんらを最初からヤカラとみなし、警察、検察と同じ態度で接したという。怒りの声は頂点に達した。「不当起訴糾弾!畑山裁判官糾弾!」の声が大阪地裁にこだました。

 雨天をも吹き飛ばすオール釜ヶ崎の勢い。南さん、大谷さん、エキンさん、レオ君まってろよ。救援運動はますます広がりを見せている。

(報告 日本人民委員会 伊関)



【お知らせ】弾圧をはね返せ! みんなで集まろう!

釜ヶ崎大弾圧反撃集会

日時 : 5月20日(金)午後6時開場 6時半開始

場所 : 阿倍野区民センター小ホール(地下鉄谷町線阿倍野駅スグ)

      大阪市阿倍野区阿倍野筋4−19−118

主催 : 4・5釜ヶ崎大弾圧救援会

連絡先  NPO法人釜ヶ崎医療連絡会議(06−6647−8278)

起訴された4名のうち、3名の保釈請求が却下されました。
起訴のうえ、保釈却下。。。

さらなる社会的な圧力をかけるため、賛同・連帯メッセージをお寄せください!

海外からも多くの声が寄せられています。ぜひもっと多くの方々に、このうした弾圧についてお知らせいただきたいと思います。

東京の宮下公園でも、不当逮捕が起こりました!

「みやしたこうえん」弾圧救援対策会議
http://430miyashita.org/


「救援会声明」

 4月30日、ナイキジャパンと渋谷区のネーミングライツ基本協
定に基づくナイキパーク=みやしたこうえん(ひらがな表記)が
オープンしたその日に二名の仲間が「軽犯罪法違反」と「公務執行
妨害」の容疑でそれぞれ逮捕されるという事件が起りました。

 数名の友人達と公園内にいたAさんは、17時40
分頃、「軽犯罪法違反」の言いがかりを付けられた上に20名
近くの公安警察によって取り囲まれてしまいました。そして18
時過ぎに、駆けつけた仲間たちの目の前で身体を引きずられるよう
にして公園の外に運び出され、そのまま逮捕されてしまいました。一方で
BさんはAさんを警察から助け出そうとした際に「公務執行妨
害」の容疑をでっちあげられ逮捕されました。Bさんは「みや
したこうえん」のあり方と夜間施錠に対する「みんなの宮下公園を
ナイキ化計画から守る会(守る会)」の抗議行動に参加していました。B
さんはAさんを助けようとする中で警察から手指の骨にひびの
入る暴行を受け、また複数の仲間が足の骨にひびが入るなどの怪我
を負いました。
 この日の午前11時、「みやしたこうえん」の「オープニン
グセレモニー」がフェンス封鎖された公園の中で大勢の警察官に守
られる形で行なわれました。渋谷区は「(セレモニー)参加者を限
定して行なう」とし、一般利用者はおろかマスメディアの取材要請
も断り、完全に閉ざされた空間で式典を終えました。12時か
らのリニューアルオープンでは、守る会の参加者に対しては警察を
動員して閉め出し、一部公園に入った仲間たちに対しても身体捜索
を強要するなど公園利用に不当な制限を加えました。

 このような公共空間とはほど遠い場所となった「みやしたこうえ
ん」において二人の仲間が不当にも逮捕されたのです。Aさん
は当日の深夜に釈放されましたが、Bさんは身柄を拘束された
ままです。

 私たち「4.30『みやしたこうえん』弾圧救援対策会議」
は、仲間の即時釈放を求め、渋谷区・ナイキジャパンと一体となっ
た警察権力の暴力を徹底して弾劾していきます。

2011年5月1日          4.30「みやしたこうえ
ん」弾圧救援対策会議



「救援対策会議からのお願い」

不当逮捕された仲間を支え、警察権力の不当性を撃つため、連帯・
賛同メッセージを寄せてください。皆さんからの声が、仲間を一刻
も早く取り戻すための確かな社会的力になります。

●お名前(個人/団体)
●メッセージ

※お名前・メッセージの公表の可/不可をお書き添えの上、以下の
メールアドレス(ファックス番号)までお送りください。

メールアドレス:contact@430miyashita.org
ファックス番号:03-3406-5254

救援対策会議では弾圧を受けた仲間を支え、いちはやく釈放させる
ための活動をしています。差し入れ、面会、弁護士の手配などにお
金が必要です。まことに心苦しい限りですが、救援対策会議にカン
パを寄せて下さい。よろしくお願いします。
※振込の際に「0430カンパ」等、お書き添えください。

銀行名:郵便振替口座
口座番号:00160-1-33429「0430カンパ」