南美穂子の拘置所生活 (その1)


 今回は私の拘置所生活について書きます。被疑者から被告になって拘置所に来た時から私達は刑務官の監視下に入り、権利を制限され(薬のことなど)拘置所独特の規則に従わせられます。刑務官は先生と呼ばれ、私達の世話をする以上に監視が仕事です。房内で話しはできますが、大きい声で話すと注意、廊下を歩く時も他の房にちょっと向いても注意、スリッパをすって歩いても「引きずるな」と細かいところまで注意を受けます。

 女区(拘置所内の女の人の居るところ)は1階と2階があり、私は、1階の雑居房にいます。2階は判決が確定して、刑務所へ行く前に準備する人、すでに拘置所内で労役をしている人、懲罰房、独居房があります。独居房には、あの林マスミさんもいて、皆の噂の的になっています。

 私は1階の雑居房にいます。雑居房には8畳に洗面所、トイレがついていて、8人部屋になっていますが、私の房は今のところ5人です。

 拘置所に来て1ヶ月ですが、刑が確定して2階へ行く人、執行猶予で帰る人、保釈で帰る人が出てきて、新しく入って来た人や、転房して来た人等、4,5名メンバーが入れかわりました。

 今は香港の人や、フイリピーナもいて、なかなか国際的です。香港の人は日本語がダメですが、皆英語と大阪弁で結構深い話もしています。

 皆、30代、20代で若いです。朝は、7時30分に起床、10分で布団のかたづけ(このかたづけ方も決まっている)窓や床のふきそうじなどをバタバタとやり、10分で入り口に向かって正座、点検があります。

 点検が終わると朝食、窓からごはんとおつゆは1人ずつ、おかずはみなの分が入れられ、手分けして配食して配膳します。それをかきこんで、片づけを手分けしてやります。

 午前中は皆、手紙を書いたりして過ごしています。家族や友人に対してもありますが、男区(拘置所内)にペンフレンドを探して文通している人も多いです。会ったこともない相手でも、互いに拘禁のつらさをはらすために手紙をやりとりしているのです。便せん7枚までいけるので、色鉛筆を使ってかわいい絵を入れて、7枚ビッシリ書いて送っています。中には、相手が刑務所に入るので、文通が続けられるよう入籍する人もいます。拘置所に入って知った初めての世界です。レオ君からハガキが来た時、皆が「紹介して」と言いましたが、「ダメ」と言うと、「こんなポン中には紹介でけへんな」と笑ってました。

 フロは今は火曜と金曜、15分でせまいフロに5,6人がひしめいて、先生監視の下、使用する湯も制限されて入ります。私はボウズなので頭を洗うのが早くていいですが、皆毛が長いのでたいへんです。

 運動の時間は30分、房単位でとりかごのような所にわなげの台や、フラフープがおいてあり、爪を切ったり歩いたりして過ごします。

 昼から2時まで午睡時間、寝転ぶことができます。

 3時、昼からの体操の時間が終わると、手紙を受けとる時間です。皆の一番楽しみにしている時間で、文通相手や家族からの手紙を熱心に読んでいます。私に送ってくれているビラやパンフは午前中に届きますので、それにそえられている手紙はこの時に読みます。

 4時30分ごろになると夕食(超早い!)5時前にそうじして点検。5時30分にはそれぞれの布団をそれぞれに配り、夜の時間となり、ラジオ放送が流れます。

 夜の時間も読書や手紙かきでそれぞれ過ごします。9時には就寝で布団に入って寝なければなりません。

 部屋には1審から今最高裁へ上告中の人や、2度目、3度目の人がいて、わたしみたいに何もわからない者に、色々教えてくれます。物品の購入や宅下げの仕方を教えてくれたり、当番を決めて部屋をしきってくれています。

 私はしんどかったり、外でもいいかげんだったりで、慣れないならわしにとまどいながらも若い人達に注意されたり、かばわれたりしながらなんとか過ごしています。

(次回に続く)

                                   2011年5月25日

                                              南