働き人のいいぶん 5月3日号

釜ヶ崎大弾圧糾弾!
釜ヶ崎労働者、野宿者、震災被災者から、選挙権を奪うな!

 4月5日、大阪府警釜ヶ崎の仲間7人を逮捕し、14ヶ所を家宅捜査した。

逮捕の理由は、昨年7月の参議院選挙の際、釜ヶ崎の中にある萩之茶屋投票所前で投票所を警備していたガードマンの公務を妨害したというものである。

 4月28日には、3名釈放、4名を「威力業務妨害」で起訴した。拘留されているのは日本人民委員会 行動する会働き人の南美穂子さん、NPO法人釜ヶ崎医療連絡会議の大谷隆夫牧師、ドキュメンタリー映画作家の佐藤零郎さん、フリージャーナリストの阪口浩一さんである。皆、釜ヶ崎に生活基盤をもちながら、釜ヶ崎の人権問題に精力的に取り組んできた仲間である。

(事件の背景)

 2006年、福岡県警の警察官が浮気をし、人生をやり直すために釜ヶ崎の住民票を買った。その住民票は釜ヶ崎解放会館に置かれていたものだった。この事件を契機に、釜ヶ崎解放会館には居住実態のない住民票が大量に置かれていることをマスコミがとりあげた。大阪市は2007年3月29日に2088名の住民票を職権で削除した。

 しかし、この解放会館への住民票の設定は、大阪市西成区役所が30年間にわたってすすめてきたものである。労働者が区役所へ行って、「飯場とドヤの往復の生活で、住民票を置く場所がない。住民票がないと健康保険にも入れないし、免許証も持てない、携帯電話も持てない、就職もでけへん、なんとかならんやろか」と相談すると「解放会館へ行って、そこに住民票を置かしてもらいなさい」と指導し、解放会館には多い時には1万人以上の住民票が置かれていたという。

 大阪市による住民票の強制削除によって、同年4月の統一地方選挙で、2000名以上もの選挙権が奪われるのではないかというおそれがでてきた。

 支援者との交渉で大阪市選管は、「投票所で簡易宿泊所の領収書などを見せて、地域に4ヶ月以上居住していることが証明されれば、投票所で住民票を復活し、投票させる」と約束した。しかしこの事実を広く住民票を削除された人に周知させることはしなかった。しかたなく、支援者がこれをビラやマイクで選挙の数日前から広報し、「住民票を復活できるかもしれませんから、投票へ行きましょう」と呼びかけたのである。これで9名が住民票を復活できた。この投票呼びかけ行動はその後の選挙でもつづいた。選挙当日、釜ヶ崎三角公園に集合し、住民票を削除された人と支援者が一緒に投票所へ行って、居住実態などの確認作業をするという行動である。当初は支援者も投票所の中に入ることができたが、徐々に支援者を門扉で排除するようになった(選管のマニュアルには、選挙人の居住実態の確認方法として、「友人も可」、とあるにもかかわらずである)。

 今回大阪府警は、9カ月も前の参議院選挙の件で、今回の統一地方選挙の5日前に一斉逮捕するという挙にでた。予防拘禁という見方もできる。そして被疑事実を変更してまで起訴拘禁するというのは、明らかに捜査権の濫用である。

 今回検察側は、法律的に重大なミスを犯した。彼らは、逮捕容疑を「選挙管理委員会が委託した民間警備員に対する公務執行妨害」とした。しかし、公職選挙法によれば、公職の選挙を行なう投票所を管理するのは、地域の選挙人の中から選んだ「投票管理人」でなければならないのである。選挙管理委員会に委託された民間警備員が、誰が選挙人かも調査することなく排除していたという事実は、それ自体が公権力による選挙妨害である。

 このことを今回逮捕された南美穂子の「勾留理由開示公判」において、担当の弁護士が主張した。

 拘留期限がきれる4月26日ぎりぎりになって、3名を釈放し、4名については「投票管理者の指示をうけ、投票人等投票所に入ることのできる者以外の者の入場を制限していた選挙管理委員会関係者に対する威力業務妨害」に罪状を付け替えて起訴した。現在4名は大阪拘置所に収監されているが、接見は可能である。保釈は申請中であるが結論はまだ出ていない。

 この釜ヶ崎の住民票、そして選挙権の問題は、おりしも東日本大震災によって被災した何十万という方々の問題でもある。遠く離れた避難先で、故郷における住民票はどうなるのか、選挙権はどうなるのか、お金がなく家がなく住民票がない貧乏人や被災者には、選挙権はないのか?まさに日本の民主主義を根底から問い返す問題である。

(救援会 いんば)


メーデー 釜ヶ崎大弾圧糾弾!

不当逮捕起訴の4人の仲間の解放をうったえる

 2011年5月1日朝5時。あいにくの雨。なにくそ、4人の解放を勝ち取るぞ。「釜ヶ崎大弾圧糾弾!」センター情宣。今年のメーデーはこうして始まった。

 4・5釜ヶ崎大弾圧で7人の仲間が不当逮捕された。まきあがる抗議の声に検察は7人に対する公務執行妨害罪での起訴を断念、3人を釈放した。ところが、残る南さん、大谷牧師、エキン氏、レオ君を公務執行妨害罪では不起訴とした直後、訴因変更して、身柄を大阪拘置所に移す暴挙に出た。

 4・5釜ヶ崎大弾圧救援会はこれに対し、「釜ヶ崎大弾圧反撃集会」《5/20(金)18:30阿倍野区民センター》をもって対峙し、メーデーでの「釜ヶ崎大弾圧反撃集会」アピール行動となった。行動には、救援会より、日本人民委員会、行動する会働き人、医療連、自由労働者連合、カワンモラウ、釜ヶ崎よってけまつりやそのほか多くの仲間が駆けつけてくれた。

 早朝情宣の後、全港湾の釜ヶ崎メーデーに参加。デモ出発前のセンターと大林組前での抗議集会で、アピールの機会をいただき「釜ヶ崎大弾圧糾弾、4人の解放、釜ヶ崎大弾圧反撃集会への結集」をうったえた。

 釜ヶ崎を一巡し通天閣へ至るデモは、カワンモラウのアップテンポの太鼓にいやがおうにも高揚感がみなぎり、「4人を返せ!」「釜の住民票を返せ!」「釜ヶ崎大弾圧反撃集会に結集しよう!」のシュプレヒコールとあいまって、ポリ公もタジタジ、泊委員長もビックリ「ありがとう」と言って笑っておられた。

 この後、中之島メーデーに合流。ここで、ふるさとの家のマーコさんや本田先生、NDSの中村さんなどと出会い、2000人はいるかと思われる会場を手分けし「釜ヶ崎大弾圧反撃集会」呼び掛けビラを配った。この日準備した2種類2000枚のビラはまたたく間に売り切れとなった。

 続くデモは、関生労組の後につき、炊き出しで遅れて到着された釜合労のみなさんとも一緒に「釜ヶ崎大弾圧糾弾!」の声をあげた。デモは裁判所前を通過。南さんの拘留延長と起訴を許した畑山という裁判官は、南さんらを最初からヤカラとみなし、警察、検察と同じ態度で接したという。怒りの声は頂点に達した。「不当起訴糾弾!畑山裁判官糾弾!」の声が大阪地裁にこだました。

 雨天をも吹き飛ばすオール釜ヶ崎の勢い。南さん、大谷さん、エキンさん、レオ君まってろよ。救援運動はますます広がりを見せている。

(報告 日本人民委員会 伊関)



【お知らせ】弾圧をはね返せ! みんなで集まろう!

釜ヶ崎大弾圧反撃集会

日時 : 5月20日(金)午後6時開場 6時半開始

場所 : 阿倍野区民センター小ホール(地下鉄谷町線阿倍野駅スグ)

      大阪市阿倍野区阿倍野筋4−19−118

主催 : 4・5釜ヶ崎大弾圧救援会

連絡先  NPO法人釜ヶ崎医療連絡会議(06−6647−8278)

起訴された4名のうち、3名の保釈請求が却下されました。
起訴のうえ、保釈却下。。。

さらなる社会的な圧力をかけるため、賛同・連帯メッセージをお寄せください!

海外からも多くの声が寄せられています。ぜひもっと多くの方々に、このうした弾圧についてお知らせいただきたいと思います。