「4・5釡ヶ崎大弾圧」抗議声明/メディア・チャンポンより

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以下、インディペンデントなメディア・アクティビストたち:「Asian Media Activist Network」によって運営されているメディア・グループ「Champon」からの抗議声明です。

「4・5釡ヶ崎大弾圧」抗議声明
 私たちはそれぞれの意志をもって自分たちが生きるこの世界に対して関わりを持つことが可能なはずである。あらゆる世界との関わり方の中でも投票するという行為は、一票という形で自らの意志を赤の他人である候補者に一定期間委ねるという面において最小限に縮減された慎ましやかな権利行使であるはずだ。それにも関わらず、住民票を持たない/持たせないということで投票権すら奪われ続けている人たちがいる。私たちと同じ世界に生きている隣人たちー野宿生活者や解雇によって住まいを失った者たち、暴力を被るなどの様々な理由によって家庭から脱出せざる得なかった者たちなどである。

 震災のどさくさの中、大阪で起こったことは俄には信じがたいほどに厚顔無恥な出来事である。昨年7月11日の参院選のさい、住民票を奪われていた労働者達に「投票にいこう」と当たり前の権利行使を呼びかけた7人の大阪の仲間たちが、あろうことか「公務執行妨害」の容疑で今年の統一地方選の直前である4月5日と10日に逮捕されたという。およそ九ヶ月前に投票を呼びかけた行為が今さら弾圧の口実になるとは。東京では「投票 for 東京」というアジテーションが公共の電波に乗って今をときめくアイドルたちによって喧しく連呼されていた。長年に渡る国家、企業、大メディアによる原子力発電の「安全神話」が現実を前に霧散し、福島では住まいを追われる人たちが日々増え続けている。一方で大阪では住まいを失った人たちを投票所から排除し、支援者までにも弾圧を加える事態が起こっている。私たちはこのように断片化された情報を繋ぎ直し、分断された現実を編集し直さなければ世界を改めて把握できないようになっているのだろうか。まさに時代の底が抜けつつある。

 大阪で弾圧された7人の中に私たちの友人であるドキュメンタリストの佐藤零郎がいる。彼が制作した『長居青春酔夢歌』は、まさに長居公園で野宿者たちが被った強制排除の出来事の断片を繋ぎあわせることによって「世界」を顕現させていくドキュメンタリーであった。大阪府警は家宅捜索の際に佐藤が撮りためた撮影テープを大量に押収したという。大阪では昨年だけでも、職場で本名を名乗ることを許されず雇用者を訴えていた労働者を逮捕するだけでなく彼が撮影していたテープを押収し、また生活保護申請の場でカメラを回した申請者を弾圧してきた。私たちはこれらを単なる映像への弾圧とみなすだけではなく、分断された現実を繋ぎ合わせ真実を発見していく民衆の現実認識力に対して権力が感じている恐怖のあらわれだとみなす。

 私たちはこのような権力の弾圧に屈しない。

大阪府警は即刻拘束した7人全員を釈放しろ! 
多くの人の投票権を踏みにじって行なわれた全ての選挙を無効にしろ!

Media Champon


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